現在33歳の女性です。
遠足などを除いて初めて山に登ったのは、20歳の時の屋久島でした。
その後は年に1度くらいのペースでのんびり登山をしていましたが、
4年ほど前から再び本格的に登り始め、
現在は低山からアルプスまで年に10回ほどと登っています。
富士登山をした当時のあなたについて教えてください。 |
2013年、30歳の時に登りました。
学生時代から仲の良かった友人たちと富士宮ルートを登りました。
仲間の中に以前、吉田ルートで登ったメンバーがいて、
吉田ルートは人がかなり多く大変だったという体験談から、富士宮ルートにしました。
また、富士宮ルートはスタート時の標高が高く距離が短いことや、
出発地点の神奈川から行きやすいことも決め手になりました。
なぜツアー参加するのでなく、個人で計画したのか教えて下さい。 |
ツアーではなく、幼なじみや学生時代のサークルの仲間など総勢9名で登りました。
もともと一緒に山登りをする仲間で、普段の登山でもツアーは利用しないため、
ツアーという選択肢はありませんでした。
個人だと日程やルート、時間配分など自由に決められる反面、
山小屋の手配なども自分たちでしなければならないのが大変なところです。
当時は富士山が世界遺産に認定された年だったので、
山小屋の予約が取れるまで安心できませんでした。
海の日の3連休の土日、7月13日から14日の1泊2日の行程でした。
九州から来るメンバーもいたため、
仕事の休みを取らずに登れる3連休に合わせての登山でした。
九州からのメンバーは前日の夕方に飛行機で神奈川入りし、
13日は朝4時くらいに神奈川を出発しました。
九州メンバーが羽田で借りたレンタカーと、
友人のマイカー2台での移動です。
夏のマイカー規制期間中でしたので、水ヶ塚公園駐車場に
車を停めてシャトルバスで富士宮口五合目へ移動しました。
五合目では高所順応のため1時間ほどゆっくり過ごし、
8時50分に五合目を出発しました。
宿泊する山小屋である九合目の萬年雪山荘に到着したのは14時でした。
休憩含めて約5時間の行程です。山小屋に到着してからは
各々装備の整理をしたりして過ごしました。
そして夕飯のカレーライスをいただき、18時過ぎには寝ていたと思います。
翌14日は1時過ぎに起床しました。
簡単に身支度を整え、1時50分に山小屋を出発し、
3時25分に富士宮口山頂へ到着しました。
ご来光までまだしばらく時間があったので、
山頂の郵便局から出すハガキを書いたりして、
あたりがうっすら明るくなり始めてから剣ヶ峰へ向かいました。
当日は雲が多くご来光を眺めることはできませんでしたが、
明るくなる空を眺めたり山頂の神社にお参りした後に下山しました。
下山は御殿場ルートを歩き、
六合目から宝永山の方へ下って富士宮口へ下山しました。
装備については普段の登山の装備とほぼ同じですが、
自炊をすることがない分、コンロやガスなどは持っていきませんでした。
装備はいつもお世話になっている神戸アウトドアさんでレンタルしました。
レンタルしたのは、2点セットで登山靴と雨具のセット、
そして単品でヘッドライト、登山用フリース、帽子、手袋をレンタルしました。
その他持っていったものは、具体的には、長袖シャツ、
登山用ズボン(ハーフパンツ)、登山用着圧タイツ、靴下、
ネックウォーマー、、マスク、耳栓、サングラス、
水、行動食、メイク落としシート、日焼け止め、財布です。
財布の中身は
100円玉をたくさん(トイレは基本的にチップ制なので、必要です。)と、
宿泊費、保険証くらいでした。水は登る前に500mlを2本購入し、
山小屋で2本購入しました。また、手ぬぐいも持っていきました。
手を拭いたり、首に巻いて日焼け対策や防寒にも使えるので、
1枚あると重宝します。
その他、ジッパー付きの袋、芯を抜いたトイレットペーパーも持参しました。
ジッパー付きの袋は携帯や財布を入れると防水になり、
ゴミを入れると臭いや水漏れを防げるので、山に行く際は必ず何枚か持っていきます。
トイレットペーパーも芯を抜けば小さくなるし、トイレ等でも使えるので便利です。
ザックは自分のもので40Lのものを使いました。
ちょっと大きすぎたと思いました。もう少し小さくてもよかったと思います。
行動食についてはカロリーメイトやカントリーマアム、
ウィダインゼリーなどを持っていきました。
登る前にコンビニでおにぎりも2つほど購入しました。
なるべく軽くて手軽に持っていけるものとしました。
体力づくりに関しては普段からなるべく歩くことを心がけているほか、
丹沢の大倉尾根を歩いたりしました。
大倉尾根は急な登りや階段が連続していて、
登山口から山頂までの標高差も1200メートルと、
今回の富士宮ルート(登山口から山頂まで標高差は約1300メートル)と
あまり変わりません。
富士山に登った後、丹沢の方が辛かったと思ったくらいなので、
いいトレーニングになったと思っています。
女性ならではの事情で工夫したことやメイクについて教えてください。 |
普段から登山の際はメイクはせず、
日焼け止めのみで済ますことが多いです。
寝る前には日焼け止めも落としたいので、
メイク落としシートを持参しました。
化粧水も、普段使っているものの小容量タイプのものを、
ジッパー付き袋に入れて持参しました。
当日、富士宮口は晴れていたこともあり、
登山開始時は長袖シャツにズボン、タイツといった服装でした。
シャツは化繊のもので、通気性のいいものです。
首元には手ぬぐいを巻いていました。
新七合目あたりからは日差しも少なくなってきたので、
レンタルしたレインウェアを羽織って歩きました。
八合目あたりからは小雨も降ってきたので、レインウェアが役立ちました。
山小屋の中は人も多かったこともあって割と暖かかったので、
長袖シャツにフリースという服装でした。
翌日のスタート時は雨はあがっていましたが、
長袖シャツ、フリース、防寒対策としてレインウェアの上下を着て、
首元にはネックウォーマーをつけていました。
山頂でも同じ服装でしたが、風がかなり強くて寒かったです。
下山時も山頂と同じ服装でしたが、途中で砂走りがあるので
レンタル雨具についてきた砂除けのゲイター(スパッツ)は
砂利が靴の中に入らず、とても役立ちました。
宝永山あたりまで下ると寒さも和らいだので、レインウェアは脱いで
長袖シャツとフリースという服装でした。
歩いているときは暑くても休憩すると寒くなるので、
柔軟に調節できるような服装を心がけていました。
登山開始時の天候は晴れで、風もなく穏やかでした。
気温も10度以上で過ごしやすかったように記憶しています。
しかし、標高が高くなるにつれて雲が増え、
山小屋につく手前では小雨も降り始めました。
翌日のスタート時に雨は上がっていました。
静岡方面の夜景もきれいに見えたので、
雲はかかっていなかったようです。
山頂付近は雲が多く、ご来光も雲の切れ間から
うっすらと太陽の光が見えるといった感じでした。
山頂はかなりの強風でした。
下山時は晴れ間も見え、風もなく穏やかでした。
遭難者を目の当たりにしたことが印象深く残っています。
遭難者というと大げさかもしれませんが、
転倒などにより怪我をして自力で動けなくなったら遭難、
という認識で普段から山を歩いています。
宿泊する山小屋までもう少し、というところで、
下ってきた男性が転倒して動けなくなりました。
仲間の目の前での出来事だったので、一人が男性に声をかけました。
反応はありましたが、シャツにジーパン、スニーカーという服装で、
水筒すら持っていなかったそうです。
あまりの軽装に驚いたとも言っていましたが、
まずは救助をということで別の一人が山小屋まで急いで知らせに来ました。
山小屋からもその様子が見えたので、
私たちは小屋のスタッフに状況を伝えました。
スタッフの方々に担がれて、男性はいったん山小屋内に救助され、
その後下から救助隊の方が来て担架に乗せられて下山していきました。
後日、地元の新聞にその記事が載っていて、
改めて山での怪我に気を付けなければと思った出来事でした。
初めて富士登山に挑戦する登山初心者の方へアドバイスをお願いします。 |
富士山に登るために、まずは登る前日はお酒などは控えて、
しっかり睡眠を取ることが大切だと思います。
日々の体力作りも必要ですが、直前のコンディションが悪ければ歩けません。
次に、歩くときに心がけてもらいたいのは、
急な登りや岩場は歩幅を小さく、
1歩で登れる段差もあえて何歩かに分けて歩くことです。
時間がかかるような気もしますが、
延々登り続ける富士山ではなるべく体力を使わないことが大切だと思います。
エネルギー補給も大事なので、
お腹がすいたと思う前にこまめに行動食を食べるといいと思います。
また、高山病にならないためにも登山口で
1時間ほど過ごして身体を慣らし、歩くペースはゆっくりと、
呼吸も吸うことより吐くことを意識するといいと思います。
水分も多めに取るといいです。
富士山は焦らず、ゆっくり、
自分のペースで登れば必ず登れる山だと思います。
弾丸で寝ずに登る人もいるようですが、
せっかく日本一の山に登るのだから、
富士山を心から満喫してもらいたいです。